「……あのー」
あたしはそーっと手を上げた。
メイメイさんのお店に行くことで話がまとまりかけていたみんなは、そろってあたしを見る。
「他に、何か知ってそうな人いないかな? あては多い方がいいと思うんだけど……」
メイメイさん、というのはが「あたしたちの世界」での経験から思いついたのだろう。
あたしは前回、なんだかんだで帰り方を調べなかった。
でも、もしかしたらこっちの世界には他の方法があるかも知れない。
それともうひとつ。
実は、ともう少し話してみたいというのもあった。
「それもそうだが、しかし……」
「うん、それなら少し探してみようか」
何か言いかけたPネスティを遮るような形でマグナ。
「え? 俺達はかまわないけど、いいのか?」
きょとんとした顔のPマグナが尋ねる。
口には出さないが、も同意見っぽい。
「がそう思うならやってみてもいいんじゃないかな」
「まあ、確かにの言うことも一理あるからな」
マグナとネスティがすんなりとOKを出す。
……ありがとう、二人とも。
そんな訳で、お屋敷に移動したけれど。
案の定、大騒ぎになった。
「ええと……どっちがどっちなの?」
「うわ、ホントにこりゃわかんねーな……」
「どっちか一人だったら、『実は双子』で終わるんだけどね……」
確かに、あたしがそっちの立場だったらそう考えただろう。
むしろ、双子程度のオチだったらまだ楽だったんだけど……
「ネスが2人……お説教も二倍……」
「何か言ったか、トリス?」
「そっ、空耳よ空耳!」
Pネスティに聞きとがめられて、あわててトリスがごまかしている。
こうして見ると、本当にマグナの女の子版、といった感じだ。
なんて思っていたら、
「やけに騒がしいと思えば、いつの間に分裂したんだお前達?」
下の方から声がした。
見れば、狼があたしから少し離れたところにいた。
……いつからいたんだろう。まったく気付かなかった。
「分裂って、アメーバじゃないんだから」
「あれ? 珍しいな、一人か?」
「そういえば、アイシャはいないのか?」
この様子だと、達とは知り合いみたいだ。
普通に会話できるってことは、召喚獣だろうか。
「あいつなら、占い師の所で酒盛りだ」
「あー……ってことは、またルヴァイドかイオスあたりがお目付役かぁ。つくづく苦労性だね、あの二人も」
狼とが深くため息をつく。
……よくわからないけど、ここでもルヴァイドさん達は大変そうだ。あたし達の世界とは違った意味で、だろうけど。
「でも、困ったなあ……あの人達にも聞いてみようかと思ったんだけど。酒盛りじゃしばらくメイメイさんもダメだし」
「? 何か用事か?」
そこでようやく、ことの次第を説明することができた。
もっとも、この狼さんはあたしのことを知らないので、そこから始めた分長くなってしまったけれど。
「……話はわかった。後で様子を見に行くから、ついでに言伝してやる」
「じゃ、そっちは任せるわ。……そういう訳だから、みんなも何か役にたちそうな情報ない?」
言われて、みんなが考えこむ。
やがてルゥが、
「……役にたつかはわからないけど、ルゥの家にある本に確か似たようなことが書いてあった気がするわ」
「ルゥの家ってことは……」
がどんよりした顔になる。
あ、そういえば禁忌の森が近いんだっけ。
「サプレスが関係あるなら、お母様が何か知らないかしら?」
と発言したのはミニス。
「ファミィさん? そっか、あの人サプレスの召喚師だし」
それに、ミニスのお母さんといえば金の派閥の議長だ。あたし達の知らない情報をもっていてもおかしくはない。
「じゃ、私とミニス、それから……トリス、一緒に来て。蒼の派閥の関係者がいた方が入りやすいし。ルゥの家には……」
がみんなを見まわすと、
「僕がルゥと行こう。人手は多いにこしたことはない」
「なら、俺も行く。途中で奴らの手先が襲ってくるかもしれんしな」
Pネスティとフォルテが名乗りをあげた。
ここはあたし達も何かするべきよね。
口を開きかけたまさにその時、がこっちを向いた。
「できればあんた達も、どっちかについていってくれないかな? その方がやりやすいと思うから」
そうだな、とネスティがうなずく。
「では、二手に分かれよう。マグナ、。君達はどうする?」
「え? んー、それじゃ……」
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2009.11.7