祝福を。
この聖なる夜に。
†kiss for・・・†
「あー・・・重」
色気のないうめき声を上げて、私は一抱えもあるほどの大きな箱を抱え直した。
箱いっぱいに詰められたオーナメントが、様々な音を立てる。
ため息一つ。そのまま気合いを入れ直して、また歩き出して、
「クリスマスパーティーは楽しみだけど、準備は楽じゃないわね・・・」
小さくぼやいた。
―――――今日は、クリスマス・イヴ。キリスト生誕前日。
リィンバウムにもクリスマスというイベントはあるらしく、此処ギブミモ邸では
今夜クリスマスパーティーが開かれる予定となっていた。
昼間はその準備時間。ちびっ子どもと一緒にツリーの飾り付け係に任命された私は、
決してちびっ子達には持てないであろう重さのこの箱を運ばされていた。
中には、ツリーの飾り付けに使うライトやオーナメントが沢山入っている。
元々ギブミモ邸のツリーは馬鹿みたいに大きいからね。必然的にオーナメントの量はハンパじゃなくて。
当然、重さもハンパじゃない。
「にしても、重い・・・」
何度付いたか分からないため息。とにかく早くこれを広間に持って行かなきゃ。遅いって、ミニスに叱られちゃう。
私はちょっとだけ足を早めて、ギブミモ邸の応接室を横切った。
―――――と、その時。一人の人物が、私の視界に映った。
応接室のドアに寄りかかって、ボーっと窓の外を見ている・・・イオス。
窓の外なんか見て、何してるんだろう。
疲れたような表情をしているけど、寝不足か何かなんだろうか?
そう言えば、彼は・・・確か買いだし班だったっけ?
フォルテ達と買い出しに行ったはずだったんだけど・・・もう買い出しは終わったんだろうか?
一瞬にして、私の頭には様々な考えが浮かんだが、それより何より率先して思ったことは、
(そこにいられたら、通れ無いじゃない)
と、何とも素っ気ない感想だった。
彼が寄りかかっているのは、ドア。ドアの上の方・・・彼の頭上に飾られたリースは、さっき私とユエルが
協力して作ったモノだ。まぁそんな事は余談なんだけど。
とにかく、このドアを開けて廊下に出ないと、ツリーのある広間には行けない。
私はため息一つ付くと、足を止めずに彼に声をかけた。
「ハイハイ、どいてどいて〜」
ハッと、驚いたようにこちらを見るイオス。声は聞こえたのだろう。でも動こうとはしない。
ボーっとしていた所為で、とっさのことに反応できないみたい。
足を止めたくは無かった。すごい重たいモノを持って歩いているとき、
一度立ち止まってしまうとなかなか歩き出せなくなるから。
でも、足を止めざるを得なかった。イオスが退いてくれないから。
「もう」
私はイオスの前で立ち止まると、箱を抱え直して、彼を睨め付けた。
彼は、「どうした?」と不思議そうな顔して私を見下ろしている。
どうした、じゃねーっつの。私は彼にズイッと詰め寄ると、言ってやった。
「そんなとこにボーっと立ってないで。チューしちゃうよ」
「・・・は?」
イオスは退いてくれなかった。それどころか、リアクションも薄かった。
つまんないの。胸中でそう毒づく。
一方、そんな私とは正反対に、イオスはとまどったような表情を見せている。
「・・・何言ってるんだ?」
「だーかーら、そこに立ってるとチューしちゃうよって言ってるの。早く退いて」
「いや、だから何でそうなるんだ?!」
私はため息を付いた。気付いてないみたいだね、この人。
両手が塞がっているため、指で指し示す事が出来ない私は、顎で彼の頭上を示す。
イオスが、私の仕草を見て、自分の頭上をふり仰いだ。
―――――そこには、私がユエルと一緒に作ったリースがあった。
ヤドリギの、リース。
「昔から、クリスマスにヤドリギの下に立っている人には、キスしても良いって言うでしょ?」
有名な話。
アメリカでは、そーいう習慣があるんだとか。小学生の時、先生から聞いた。
その時にはホントにそんな事がありえるのか信じられなかったけど、
中学に入って帰国子女の子に話を聞いたところ、本当にそうなのだと話してくれた。
まぁ私は、冗談で口にしただけだったんだけどね。ただ彼にドアの前から退いて欲しかっただけ。
しかしイオスは、私の話を聞いて、私をまじまじと見つめると・・・言った。
「な、なんだ、それは?」
「あれ?知らないの?私の居た世界では、有名な話なんだけど」
驚いた私が尋ね返すと、彼は信じられないと言わんばかりの表情で私を見て。
「そ・・・そんな常識があるのか、の居た世界では?!」
「あ、も・・もちろん、私の居た国ではそんなことしなかったよ?流石にね。
ただ、他の国・・・レナードの居た国で、そういう習慣があるだけ。ホントだよ?」
イオスの、問いつめるような口調に、私は慌てて弁解した。
流石に、私もそんな痴漢じみたことを本気でする気は無い。ただの冗談で言ったつもりだったのだ。
私の一生懸命な弁解を聞いて。イオスは片手で額を押さえるとため息を付いた。
「―――――随分はしたない習慣だと思うのは僕だけか?」
「ネスティみたいな事言わないでよ・・・」
ネスティにこんな事話したら、お決まりの「はしたない!」って台詞と共に一時間ぐらいお説教くらうんだろーな・・・
そんなことを想像してしまって、私は低くうめいた。
流石にクリスマスまで説教受けたくないです。
―――――とにもかくにも。私は気を取り直してイオスを見据えた。
今は此処を退いて貰わなきゃいけない。重たい荷物を持ったまま突っ立っているから、すごい疲れる。
手とかしびれてきたし。
「まぁそんなことはどーでも良いから。とにかくそこ退いて、通れないよ」
私がそう言うと、イオスは、そこで初めて自分がドアを塞いで居ることに気付いたみたいで。
「あ・・・すまない」
そう言って、脇に避けてくれた。ついでに、私の両手が塞がっているのに気付いてドアを開けてくれる。
私は軽くお礼を言って、彼の前を横切り廊下に出ようとした。
―――――と。
「」
イオスに呼び止められる。
早くこの荷物広間に持っていきたいんだけどなー・・・そんなことを思いながらも、
無視するわけにもいかないので、私は振り返った。
「何?」
すると、大まじめな表情で、イオスが
「気をつけろよ」
と言った。
「何が?」
意味が分からない。これからツリーの飾り付けに行くだけなのに。何に気をつけろと?
聞き返すと、イオスはためらうように視線を移してから・・・やがて私を見据えて、言った。
「その・・・ヤドリギの下には、立つなよ」
その言葉を聞いた私は、
―――――爆笑するしかなかった。
「な・・・ははっ、あはははははっ!」
「な、何故笑うんだ?!」
心外だとでも言いたげに、イオスがムキになる。私はそんな彼を指さして笑った。
・・・荷物を抱えていることも忘れて。
「あはは・・・・あっ!?」
当然、片手を離してしまった所為で、箱が落下する。
箱は重力に従って床にぶつかると、中身であるオーナメントを思いっきりぶちまけて、大人しくなった。
「ああ〜、やだ、落としちゃった〜」
「まったく、何やってるんだ」
「うう・・・拾うの手伝ってぇ〜」
慌ててしゃがみ込んで、オーナメントをかき集める。イオスも片膝を付くと拾うのを手伝ってくれて。
せっせとオーナメント拾いにいそしみながら、私はイオスを見て悪戯っぽく笑った。
「でも・・・イオスが知らないって事は―――――」
「何をだ?」
「あの習慣よ。ヤドリギの下に・・・ってやつ」
「ああ・・・」
「イオスが知らないって事は、こっちの世界にそう言う習慣は無いって事でしょ?」
「たぶん・・・初めて聞くからな」
「じゃあ、『気をつける』必要無いじゃない」
「でも・・・」
「知ってるのはレナードとイオスぐらいだからね。君たち二人にさえ気をつけてれば、大丈夫でしょ?」
そう言って、ニヤリと笑う。イオスが顔を顰めた。
「言っておくが、僕はそんな事はしないぞ」
「レナードもしないわよね。だから、気をつける必要はないでしょ?」
「・・・」
オーナメントを拾い終えて。全て箱に詰め直して。
「それじゃ、さんはツリーの飾り付けに行って参りますです、隊長っ。ごきょーりょく感謝しまっす!」
私はビシッとイオスに向けて敬礼をしてから、屈んで、箱を持ち上げようとした。
しかし。
「・・・え?」
イオスが、ヒョイッと、軽そうにその箱を取り上げてしまって。
「あのー・・・?」
「・・・結構軽いな」
「アンタにはね」
半眼でうめく。頼むから軍人さんと女子高生の腕力を同等で考えないで欲しい。
イオスはそんな私を一瞥すると、
「僕が持っていく。・・・広間で良いのか?」
そういって、返事も待たずに歩き出した。
「・・・ごきょーりょく、感謝しまっす・・・」
私は彼の背にそう呟いてから、慌てて彼の後を追った。
相変わらず、イオスが何を考えてるのか・・・いまいちつかめないんだよねー・・・
イオスは、オーナメント運びだけじゃなく飾り付けまで手伝ってくれて。
お陰で、時間が掛かることが予想されたツリーの装飾も結構早く終わった。
「イオス、結構センスいいのね、男の人なのに。感心しちゃった」
ミニスが、背伸びした物言いでイオスにそう言う。でも、私も同感だった。
ハッキリ言って、私よりセンス良いっすよ、この人。私が飾り付けしたゾーンと、彼が飾り付けしたところ。
比べてみるとよく分かるわ。私のが、とにかくあちこちにオーナメントをぶら下げただけなのに対して、
イオスの所はシンプルながら可愛らしくまとまってる。
ミニスの誉め言葉に、謙遜するイオスの横顔をそっと盗み見た。
白い肌に、澄んだ、サラサラそーな金髪に。外見で既に女として負けてるのにさ、センスでも勝てないって、ちょっと悔しい。
いや、すごい悔しい。
私は、イオスに負けっ放しだ。腕力はもちろんのこと、外見的にも、何もかも。
彼と一緒に街に出ると、街の女の子達の視線が痛いんだよねー。
イオスに向けられる視線は、憧れの視線なのに対して・・・私に向けられる視線といったら、
『何コイツ。何でコイツなんかがこの人の隣を歩いてるの?』
的視線。
視線も凶器になるって事を実感した一瞬だったわな。
―――――と、まぁ。そんなことを考えていた、その時。
「・・・!」
「ひゃっ!?」
突然大声で呼ばれて、私はビクッと身体を震わせた。
横を見ると、心配そうに私をのぞき込んでいる、イオスの顔が。
「どうした?ボーっとして・・・具合でも悪いのか?」
「え?あ・・・ち、違う違う。ただちょっと色々考えていただけ」
そう。考えていただけです。女としての敗北感をひっそりかみしめていただけですのでどーぞお気になさらずに。
「そうか?それならいいんだが・・・何度呼んでも返事しないから」
「へ?そんないっぱい私のこと呼んでた?」
全然聞こえなかった。思わずイオスに聞き返すと、彼はゆっくり頷いて。
周りにいるちびっ子達に視線を向けたが、彼女たちもコクコク、小刻みに頷いてイオスに同意した。
「ゴメンゴメン・・・でも、ホントにただボーっとしてただけだから、心配してくれてありがと、イオス」
取り繕うように、私が謝ると、イオスはホッとしたような表情を見せる。
しかし、トリップすると周りの声が聞こえなくなる癖、直さないとな。
ひっそりそんな決心をしてから、私は立ち上がった。
「さてと・・・料理班のお手伝いでもしてくるかな」
料理班とは、アメルとレシィの事。彼女らは今、台所で大人数の食事を作るのに大忙しのはずだ。
私の意見に真っ先に賛成したのは、ユエルだった。
「ユエルもお手伝いする〜!と一緒にアメル達のお手伝いする!」
ユエルは、本当に手伝いが好きな子で。率先して色んな事をやってくれるから、本当に助かる。
もちろん私もユエルも食事を作る手伝いは出来ないけれど。でも、食器を運んだりぐらいは出来る。
「よーし、じゃあユエル、一緒に行こうか」
「うんっ!」
私はユエルと手をつないで、台所へ向かおうとした。
すると、イオスもすっと立ち上がって。
「僕も―――――・・・」
私は、そこであることを思いつき、何かを言いかけたイオスに向き直って、告げた。
「そうだ、イオスはさ、ミニスと一緒に部屋の飾り付けお願いしても良いかな?
イオス背高いから、私たちじゃ届かない所も届くだろうし」
「・・・」
私の言葉に、何か言いかけたらしいイオスが言葉を飲み込む。
・・・何を言おうとしたんだろう?私が首を傾げても、彼は続きを口にしようとはせず。
ただ、フッと微笑んで、
「分かった」
とだけ言ってくれた。
「じゃ、お願いねっ。イオス、センス良いからさ。楽しみにしてるよ」
私はそう言って、ユエルと一緒に広間を出た。
ミニスがゆっくりと立ち上がると、イオスはこちらを向き、
「それじゃあ、始めるか」
と言った。
ミニスはそんな彼を見つめながら、ユエルとハサハと一緒に作った輪飾りを手にとって。
そして、言う。
「残念だったわね、一緒に準備していたかったんでしょ?」
イオスが、驚いたような顔でこちらを見た。ミニスも、得意げな顔でイオスを見つめ返す。
しばらくの沈黙が流れて―――――
「お前・・・鋭いな」
イオスのうめくような呟きに、ミニスは肩をすくめた。
「あの子が鈍すぎるの。貴方の態度、あんなに分かりやすいのに」
戦争だった。
そう断言しても良いくらい、その後の準備は大変だった。
しかし一生懸命準備した甲斐があって、クリスマスパーティーは大成功の内に幕を納めることになる。
イオスとミニスの二人で飾り付けをした部屋は、おしゃれで、とてもクリスマスらしくて。
私たちみんなで飾り付けをしたツリーは、可愛いとみんなに評判で。
そして、アメルとレシィが作ってくれた料理は、とてもとてもおいしくて。
パッフェルさんがケーキを大量に持ってきてくれた事でギブソンとルゥの甘味帝王達は大喜びし、
フォルテが酒を大量に仕入れてきたことでバルレルとマグナが大喜びし(もちろん二人とも、私とネスティにお酒を
取り上げられてたんだけど)。
―――――そしてそして。パーティーの途中で、トリスが、雪が降っていることに気付いたのだ。
「あ!雪!」
「嘘っ?!」
彼女の歓声に、みんなが一斉に窓際に殺到する。
窓にへばりつくようにして、みんなで外を眺めた。ちらちらと、雪が舞い降りてきている。
とても儚げで、幻想的な風景だった。
「・・・メリークリスマス」
誰からともなく、呟いた。
雪を見つめながら。
明日はきっとつもるだろう。私はぼんやり、そんなことを考えていた。
「メリークリスマス」
背後から声が掛かって、私は緩慢な動作で振り返った。
夜。みんなが、騒ぎ疲れて寝静まった時間。
部屋の電気は全部消してあったんだけれど、ツリーに付いているライトと、
窓から差し込む雪明かりで、広間は結構明るかった。
明るいからこそ分かる。誰が私に声をかけてきたのか。
「イオス・・・起きてたんだ」
私は、こちらを見て立ちつくしているイオスに微笑みかけた。イオスは微笑みを返すと、窓際の
イスに腰掛けて外を見ていた私にゆっくり近づいてきて。手に、何かを持っている。
「寝ないのか?」
イオスに聞かれて、私はかぶりを振った。
「寝ようとしたんだけどね・・・下手にテンション上がっちゃったからかな、
なかなか眠くならないの。・・・イオスは?」
「僕も同じだ」
そう言うと、イオスは側にあるテーブルに手を伸ばした。
パーティーが終わってから私とアメルとで出来るだけ後かたづけをしたんだけれど、
テーブルの上にはまだ片づけきれなかったパーティーの名残があって。
彼は、まだテーブルに出たままになっていたシャンパンに手を伸ばすと、グラスについで、私に差し出してきた。
「飲むか?」
「私、まだ未成年だよ?」
笑って、言う。私はまだ未成年だから、パーティーの時はちびっ子達と(あとバルレルと)一緒に
アルコールなしのシャンメリーを飲んでいたんだ。
しかしイオスはあまりそう言うことは気にしない人みたいだ。
「別に、気にすることは無いんじゃないか?」
「気にするよ」
どちらにしろ、今は何かを飲む気分じゃない。私が断ると、イオスはそれを自分で飲んで。
私は、イオスのもう片方の手を指さして、言った。
「ところでさ」
「なんだ?」
「何、持ってるの?」
さっきから、ずっと気になっていた。彼が何を持っているのか。
上手い具合に影になっちゃって、ここからじゃ見えないんだ。
私が問うと、彼は答えずにテーブルにグラスを置くとこちらに近づいてきて。
そして―――――手に持っていた何かを、私の頭上の壁に、かけた。
ヤドリギの、リースだった。
「・・・」
私は、しばらくそれを凝視していたんだけど。
やがて、嘆息混じりに呟く。
「私に『気をつけろ』って言ったのは何処のどなたでしたっけ?」
「僕だ」
「『僕はそんなことしないぞ』って豪語していたのは誰だっけ?」
「僕だ」
「じゃあこれは何?」
「気が変わったんだ」
「オイオイ・・・」
あまりに理不尽な言い分に、私は半眼でつっこんだ。
しかしイオスは気にした素振りも見せずに後を続けて。
「君が悪いんだぞ」
そう言った。
「何が?」
「君があまりに鈍いから・・・」
「だから、鈍いって何が?」
問う。イオスはしばし、そんな私を凝視していたんだけど、やがて、諦めたようにため息を付いた。
・・・何だかその態度、馬鹿にされているような気がしないでもないんだけど。
「ホントに鈍いな」
「だから・・」
「もういい」
自己完結ですかい。
思わず不機嫌な表情になってしまった私だったけれど、次の彼の台詞で、そんな考え吹っ飛んだ。
「・・・嫌か?」
・・・頭、真っ白。
ちょっとちょっと、イオスさん?そんな、雪明かりに照らされた状態で、そんな切なげな表情で、
そんな台詞を吐くなんて反則じゃございません事?
私は彼から視線を逸らすと、呟いた。
「ずるい・・・」
「何が?」
「イオス、綺麗なんだもん」
思わず本音が漏れる。すると、イオスは唖然として私を見つめる。
「何を言ってるんだ?」
「イオスすごい綺麗。なんか・・・女として敗北感が・・・」
イオスはしばらく私をまじまじと見つめていたんだけど、私が彼に視線を向けると、とても綺麗に微笑んで、
「の方が綺麗だ」
「・・・え?」
そして、私の顎に、そっと手を添えた。
―――――私は、そっと目を閉じた。
「来年も・・・」
イオスの呟きに、私はそっと目を開けた。
すると、優しい微笑みを浮かべたイオスと目が合う。
「来年も、また・・・」
「来年もこんな事するつもり?」
私は、半眼で彼を睨み付けた。すると、バツが悪そうに視線をずらすイオス。
その様子がとてもおかしくて。私は、思わず小さく笑ってしまった。
「そう言う意味じゃない。来年も一緒に、って・・・」
「ゴメンゴメン」
いじけた彼に、軽く謝って、私は立ち上がった。
イオスに近づいて、彼を見上げる。
不思議そうに私を見下ろす彼に微笑んで、私は言った。
「そうだね。来年も、こうやって一緒に過ごしたいね」
「・・・そうだな」
イオスにギュッと抱きしめられて。私は視線を少しだけ横にずらした。
みんなで飾り付けしたツリー。チカチカと点滅しているライトを見て。
来年も。
こんな風に、平凡でも良いから、幸せなクリスマスになればいいと、願った。
窓の外では、雪が静かに降り続いていた。
祝福を。
この聖なる夜に。
君と過ごせる この幸せな夜に―――――・・・
Merry Christmas!!
Fin・・・
はい!クリスマス用ドリーム、第五段のイオス君です。
もー・・・
ツッコミ不要。何て言うかツッコミ不要。誰がなんと言おうとツッコミ不要。
ヤドリギの話は、初めて聞いたときびっくりしましたね。
帰国の子から話を聞いたんですが、友人の家のパーティーに呼ばれたとき、その事で友人がはしゃいでいた
そうですよ。好きな子が来たときに、ちょうどヤドリギの下に立つとか、色々やっている子がいたそうです。
日本人からしたら考えられないことでしょうけどね。
日本じゃ、きっと犯罪に近いと思います、そんなことしちゃったら。
―――――と、言うことで。どちらかというとみぃにリード取られてる偽物イオスをお送りいたしました。
もう石投げないで下さい・・・。
此処までお付き合いいただき、有り難うございました!
Merry Christmas!!
2002,12,25 水音 澪
強奪犯のコメント(笑)
水音さんの配布クリスマスドリーム、イオス編です。
鈍いドリ主にやきもきしているイオスがかわいいです。
ちなみに、ヤドリギのリースの下で恋人同士がキスすると、結婚の約束になるんだそうです。
…このまま結婚したりして(笑)
掲載許可ありがとうございました!
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