番外編「Child Play」
Child Play
ちゃらららー♪
聴き慣れない奇妙な音楽が、の持つ箱状の機械から発せられた。
「何だ、それ?」
「何って……あ、マグナ達は知らないんだっけ。携帯ゲーム機だよ、私の世界の遊び。この前召喚に失敗して出てきちゃって、せっかくだから久しぶりに遊んでみようかなーって」
マグナの質問に答えると、は再び視線を機械に向けた。
音楽に混じって、ボタンを押す音が聞こえてくる。
「うわ、ちょっときついな……よし、イオスでいくか」
「え?」
いきなり名前を出されたイオスが、戸惑いがちな表情になった。
「僕がどうかしたか?」
「え? ああ、違うよ。このゲーム、仲間に自分で好きな名前付けられるんだよ。ほら、これがイオス」
指の示すあたりには、三頭身で表示されている戦士風の男が一人。
その手には槍がある。それ繋がりで『イオス』とつけたのかもしれない。
(好きな名前、かあ……)
遊びだとはわかっていても、マグナはなんとなくイオスがうらやましかった。
その名を与えられた架空の存在も。
自分の名前はどうなんだろうと考えた時。
「あ――っ、イオスやられたっ! おのれイオスの仇―――っ!!」
…………………
なんて言ったらいいのかわからず、マグナはイオスに視線をやった。
イオスは複雑そうにを見つめている。
いくら自分のことではないとはいえ、やはりやられただの仇だの言われては当然の反応だろう。
は周りのそんな様子に気づかず、食い入るように機械を見つめボタンを連打する。
やがて、はガッツポーズを見せた。
「よっし、撃破っ!! さすがは私のレオン!」
誰だよ、レオンって。
それはマグナとイオス、共通の思いだった。
「おう、懐かしいもんやってんな」
通りがかったレナードが、機械に目を留めて言った。
「なんだ、RPGか?」
「そうなんですよー、偶然呼び出せちゃったんで久しぶりに……でも私がやると主人公ばっかり育っちゃうんですよね。今だって他の仲間と比べるとレベル10も離れちゃってるし」
「まあそりゃあな。話のほとんどに出てくるから主人公なんだしな」
「それもあるんですけど。やっぱり使いやすいんですよね主人公。その分愛着もついちゃうから余計に使ってしまって……」
「しかしなあ、さすがに他の仲間が弱いっていうのは問題あるんじゃねえか?」
「そうですよね……でもレオンはシステム上外せないし。しばらく防御に徹してもらうしかないかな……?」
盛り上がる二人を前に、マグナとイオスはなんとなく疎外感を感じていた。
その後、「遊び道具に負けてたまるか―――!!」などと叫びながら必死で特訓するマグナとイオスが見られたという。
名づけネタその1。デフォルト名ない主人公とかって、名前考えるのに苦労しません?
ちなみに管理人の兄は、必ず変な名前をつけます。おっさんに「パフェ」とか。